学校に向かう道のりにある天神神社のしだれ梅が、淡い桃色の小さなつぼみをつけ、春の訪れを告げる季節となりました。
本日は、来賓の皆様をはじめ諸先生方のご臨席のもと、このような心のこもった式を挙げていただき、誠にありがとうございます。また、先ほどは皆様から心温まる励ましのお言葉をいただき、卒業生一同を代表して心よりお礼申し上げます。
私たちが卒業する岐阜市医師会看護学校は、平成二十七年に岐阜市立第二看護専門学校が移管されて開校されました。学校の教育方針は准看護師から看護師への一貫したシステムを構築し、知識・技術を統合して判断する能力のある看護実践家の育成を目指すことを内容とし、私たちはその第一期生となります。三年間の教育課程を通して、「患者に寄り添う看護とは何か」を追求し、対象の生命力の消耗を最小にする生活過程を整える看護を実践してきました。
特に臨地実習では、うまく対象を捉えることができず、障害をどのように受けているのか、もてる力は何なのかを、細胞レベルで考えていくことの難しさを感じました。患者様の病気がよくなり、少しでも長く日常の生活を穏やかに過ごして頂きたいという思いが強くなる一方で、知識や技術が未熟で思うような看護できず、言葉で言い表せないほどの悔しさと申し訳なさを感じました。これではいけないという思いから必死に学びました。
思い起こせば、私を看護の道に進ませたきっかけは、大切な人を亡くしたことでした。生きたくても生きられない人がいることを初めて知りました。「生きたいと思う人がいるのであれば、その人の力になりたい。」という思いが、家庭との両立でくじけそうになった気持ちを奮い立たせました。そして今日、この場に立つことが出来ました。在校生のみなさん。これからの座学や臨地実習、三年間の集大成となる国家試験に向けての道のりは平たんではないかもしれません。辛い時こそ、なぜ数ある選択肢の中から看護師の道を選んだのか。原点に立ち戻ってください。自分の中にある志は、きっと自分を後押ししてくれます。
私たちは、一人ひとり苦しみ辛さと向き合い、壁を乗り越えるための努力をしてきました。同じ目標をもった仲間と悩みを分かち合い、励まし合ってここまでやってきました。年齢は関係なく、クラスメイトからたくさんの励ましをもらいました。自分が苦しい時は、仲間も同じように苦しい。
その苦しい時に人からもらった優しさは、自分の心の泉となり、今度は自分の周りの人が大変な時に、優しさとなって溢れ出します。価値観の異なるものが集まり、考えの違いがあったとしても、一人一人の良さを見出し、最後には自分の看護観に反映し、仲間と協力していくことを、これからの実践看護師になるための礎として下さい。
私たちは、晴れて卒業の日を迎えることができました。今日までご指導、ご支援して頂いた諸先生方、職員の皆様、学生を受け入れて下さった患者様、卒業後も変わらず応援してくださる先輩方、支え励まし合ってきた仲間、どのような時にも一番近くで支えてくれた家族に、心より感謝いたします。また、最後まで私たちのことを厳しく、時には見守り、励まし、指導してくださった先生方の存在は、とても大きなものでした。感謝申し上げます。
四月からは目標としてきたステージへと駆け上がり、それぞれの道を歩み始めます。学びを活かし、看護師としてよりよい看護ができるよう自己研鑽に努めてまいります。
最後になりますが、岐阜市医師会看護学校の限りない発展と学校長をはじめ、諸先生方、ならびに在校生の皆様のご健勝とご多幸をお祈りし、答辞とさせていただきます。
平成30年3月1日
41期生代表 市橋 千里