予防接種

予防接種に関する情報(一般向け)更新日:令和6年5月1日

定期接種のワクチン

1.B型肝炎ワクチン

 B型肝炎とはB型肝炎ウイルスによる感染症です。このウイルスは、体に入ると肝炎を起こし、長く肝臓にすみついて(慢性化、キャリア化)、肝硬変や肝臓がんを起こします。非常に感染力が強いウイルスで、感染経路は、B型肝炎を持ったお母さんから分娩の時に子どもにうつったり(母子感染)、父親、家族や友人、ウイルスに汚染された血液の輸血や性行為などで感染(水平感染)したりすることが知られています。しかし、原因不明のこともよくあり、特に子どもの場合は原因不明のことも多いとされています。
 出生直後から接種可能ですが、生後2か月以降にロタウイルスワクチン・肺炎球菌ワクチン・五種混合ワクチンとの同時に接種が一般的です。1回目のあと4週間以上あけて2回目を受け、2回目から4-5か月経ってから1歳の誕生日前日までに3回目を受けるのがおすすめです。

2.ロタウイルスワクチン

 ロタウイルス感染症には、多くの子どもがかかる嘔吐・下痢をおこすロタウイルス胃腸炎と脳炎などの重い合併症があります。このワクチンにより、ロタウイルスによる嘔吐下痢症を防いだり、軽くしたりして、点滴や入院が必要になるほどの重症例を約90%減らします。結果として、脳炎などの重い合併症も防ぎます。
 生後6週から接種できますが、ほかのワクチンとの同時接種を考えて、生後2か月からが最適です。ワクチンの種類によって2回または3回接種します。どちらも初回を14週6日までに接種することが推奨され、接種できる期間が決められています。この目的は、腸重積症(腸閉塞の一種)が起こりにくい低い年齢で接種することです。接種できる期間がとても短いので、お子さんが生まれたらできるだけ早めにかかりつけの小児科医と相談して、接種スケジュールを立てておきましょう。

3.小児用肺炎球菌ワクチン

 肺炎球菌による細菌性髄膜炎などの重症感染症を予防するためのワクチンで、WHO(世界保健機関)が最重要ワクチンの一つとして、すべての国で、定期接種にすべきだと勧告しているものです。
 細菌性髄膜炎はかかった子どもの半数以上が0歳の赤ちゃんです。病気が重いだけでなく早期診断が難しく、抗生物質(抗菌薬)が効かない菌も多いので、必ず生後2か月から五種混合ワクチン等と同時接種で受けましょう。0歳児が接種するワクチンは種類、回数が多いので、スタートダッシュが肝心です。生後2か月のお誕生日にワクチン接種をスタートしましょう。遅くとも6か月までにしっかりと免疫をつけましょう。
 生後6か月以降の赤ちゃんに、肺炎球菌による細菌性髄膜炎が増えてきます。それまでに必要な免疫をつけておくために、生後2か月から初回の3回を6か月までに受けるようにしましょう。また、効果を長続きさせるために、1歳代(生後12~15か月)に必ず追加接種を受けましょう。

4.五種(四種)混合ワクチン

<予防する病気>
 五種混合:ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)、ヒブ感染症(Hib)
 四種混合:ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)
 2024年4月から四種混合(DPT-IPV)とヒブワクチンを混合した五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が導入されました。
 生後2か月から接種できます。3~8週間隔で3回、3回目の6~18か月後に4回目を接種します。百日咳は子どもがかかりやすい病気です。特に小さな赤ちゃんがかかると重症化してしまいます。
 また、大人にも流行していてどこでうつるかわからないため、生後2か月になったらできるだけ早く受けましょう。

5.BCGワクチン

 結核を予防するワクチンです。
 1歳未満の赤ちゃんが対象で、肺炎球菌ワクチン・五種混合ワクチンの3回接種が済む生後5か月頃に接種するのが最適です。
 通常、接種後2~3週間後にぽつぽつとはれてきてうみが出ることもありますが、数か月で自然に治ります。塗り薬や貼り薬はつけないようにします。
<コッホ現象>
 接種後受けたところの針跡が3~10日以内にたいへん赤くはれてうんできたら、接種前から結核に感染していた可能性があります。これは、ワクチン接種による副作用ではありません。結核にかかっている可能性があるので、あわてずに数日以内にワクチン接種をした機関を受診してください。

6.麻しん・風しんワクチン

 麻しん(はしか)と風しん(3日ばしか)を予防するワクチンです。
 麻疹は高熱と呼吸障害を引き起こし生命が奪われることもある危険な感染症です。また妊娠中に風疹にかかると胎児に生まれつきのいろいろな病気が生じる危険性があります。この二つの病気の流行を防ぐためにも、確実に予防接種を受けておくことが大切です。
 1回目は1歳の誕生日以後2歳に達するまでに接種、2回目は就学前の1年間(幼稚園・保育園の年長のとき)に接種しましょう。
<特例措置>
 令和6年度の接種対象者は、ワクチンの供給不足のため、接種対象期間を延長し、令和7年4月1日から2年間(令和9年3月31日まで)、定期の予防接種として公費で接種を受けることができます。

7.水痘ワクチン

 水ぼうそうを予防するワクチンです。水ぼうそうは必ずしも軽い病気ではなく、時に脳炎など重症化することがあります。
 1歳になったらMR(麻しん風しん混合)ワクチンと同時接種で受けましょう。地域で流行していなくても、かかりやすいので1歳でMRワクチン、おたふくかぜワクチンと同時接種がおすすめです。1回目接種後3か月たったら2回目を接種しましょう。
 定期接種の対象でない年代でも、水痘にかかっていない人はワクチン接種がおすすめです。感染力が強く、ワクチンを受けていない子どもが多い学齢期の流行がみられます。任意接種でも2回の接種を受けましょう。

8.日本脳炎ワクチン

 日本脳炎にかかると確実に治す方法がなく、致命的となったり重い後遺症を残したりする危険性があるので予防接種を受けておくことが大切です。
 ワクチンの予防効果などでかかる人は少なくなりましたが、かかってしまうとたいへん重症になります。多くの地域では標準年齢の3歳からの接種になっていますが、6か月から接種した方がいいという意見もあります。かかりつけの小児科医と相談してください。
<特例措置>
 平成7年4月2日~平成19年4月1日生まれの方は20歳未満であれば接種を受けることができます。

9.二種混合ワクチン

 ジフテリア・破傷風を予防するワクチンです。
 11~12歳で二種混合ワクチンを1回接種します。小学校入学後の百日咳患者さんが増えており、任意接種にはなりますが、二種混合ワクチンの代わりに三種混合ワクチンを接種することがすすめられています。

10.子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)

 ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんを引き起こす主要な原因のひとつです。子宮頸がんワクチンを接種することにより子宮頸がんを予防することに役立ちます。
 定期接種の対象年齢は小学校6年生~高校1年生相当の女子です。小学6年生になったらできるだけ早く接種を受けましょう。遅くとも15歳になる前には初回接種を受けましょう。
<キャッチアップ接種>
 2025年3月3月末までに初回を接種している人は、2回目以降を2025年度中に公費(無料)で受けることができます。
・対象:1997年4月2日~2009年4月1日生まれの女性
・期間:2025年3月末までに少なくとも1回目(2回目以降は2026年3月31日までに接種)

11.高齢者用肺炎球菌感染症予防ワクチン

 高齢者が肺炎球菌に感染すると肺炎などをおこして重症化することや生命にかかわることがあります。予防接種を受けて健康な毎日を過ごせるようにしましょう。この予防接種の対象は岐阜市に住民登録があり次の2項目のどちらかに該当する人です。
(1)接種時、満年齢で65歳の人(66歳の誕生日の前日まで接種可能)(今までに23価肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けたことのある人は対象となりません)
(2)60歳以上64歳(接種時満年齢)で、心臓、腎臓、呼吸器の機能障害またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障害があり、身体障害者手帳1級に相当する人(今までに23価肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けたことのある人は対象となりません)
 実施医療機関など詳しくは岐阜市のホームページ 感染症・予防接種欄をご参照ください。

12.帯状疱疹ワクチン

 帯状疱疹は、水ぼうそうにかかった後、体内に潜伏する水痘帯状疱疹ウイルスが、加齢、疲労、免疫抑制などで再活性化して起こる病気です。体の左右どちらかに、帯状に、時に痛みを伴う水泡ができ、皮膚の症状が治った後に痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」という合併症になることがあります。
 帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹や、合併症を予防する効果が認められています。
<定期接種の対象者>
(1)今年度65歳になる人
(2)今年度70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人
(3)今年度101歳以上になる人
(4)60歳以上65歳未満で、ヒト免疫不全ウイルスに伴う免疫機能障害により、身体障害者手帳1級をお持ちの人

任意接種のワクチン

 下記に示す任意の予防接種も健康維持のために重要であるため、必要性と副反応について理解を深め接種について検討してください

1.おたふくかぜワクチン

 おたふくかぜは耳下腺や顎下腺という唾液腺が腫れる病気です。軽症のことが多いですが、重度の難聴や髄膜炎を併発することがあります。特に難聴は回復が難しく、こうした合併症を防ぐためにもおたふくかぜワクチンを受けて予防することが大切です。
 1歳になったらMR(麻しん風しん混合)ワクチン、水痘ワクチンと同時に、できるだけ早く受けましょう。1回目の数年後に2回目を受けるのがしっかりと免疫をつけるために必要です。
 おたふくかぜワクチンは、WHOが水痘と同様に定期接種にすべきワクチンと位置付けており、接種をおすすめします。

2.インフルエンザワクチン(高齢者は定期接種)

 インフルエンザは脳炎や肺炎など重症の合併症を起こすことがあり、普通のかぜとは異なります。接種2週以降に、免疫が誘導されるので、流行前に余裕を持って接種しましょう。
 発症予防効果は麻しんなどほかのワクチンと比べて高くありませんが、重症となり入院を予防する効果があり、是非接種しましょう。

3.新型コロナワクチン(高齢者は定期接種)

 高齢者や基礎疾患がある場合は重症化のリスクがあるとされています。ワクチン接種により、発症予防や重症化(入院)予防の効果が報告されています。また、重症化(入院)予防効果は発症予防効果より高いことが確認されています。

海外渡航のためのワクチン

 受け付けている医療機関は日本小児科医会国際部のホームページの予防接種情報をご参照下さい。