全国医療システム連絡協議会・第13回定例会議報告

      《岐阜県医ニュ−ス12月号掲載原稿》

全国医療情報システム連絡協議会/第13回定例会議に出席して

      岐阜市医師会理事    河合直樹、川出靖彦
      岐阜県医師会常務理事  小林博、渡辺茂樹

 11月9日(土)、10日(日)の2日間、秋晴れの杜の都仙台(仙台国際センタ−)において全国医療情報システム連絡協議会の主催、宮城県医師会・仙台市医師会の共催、日本医師会の後援で上記会議が開催されました。今年は岐阜市医師会から担当理事2名(河合、川出)と情報処理委員会の岩砂三平、飯沼順平、小坂譲二の各委員計5名、県医師会から担当常務理事2名(小林、渡辺)と担当事務職員3名(伏見、伊奈、木村)の計5名が出席しました。会場には北は北海道から南は沖縄までほぼ全国の県医師会あるいは郡市医師会の医療情報担当役員約400名が集まり超満員の盛況でした。
 今回岐阜県医師会から会議についてレポ−トせよとのご指示をいただきましたが会議の詳細な内容についてはすでにインタ−ネット(http://www2g.meshnet.or.jp/~sue/sympo96.htm)やパソコン通信(NIFTY-Serve等)で速報が出ていますのでそちらをご覧いただくとして、ここではこの速記録も参照しながら会議の概要と印象、そして今後この分野に関して岐阜県および岐阜市医師会の進むべき方向について感じたことを述べてみたいと思います。

会議の内容

 会議の第1日目は13時から実行委員の宮城県医師会伊東常任理事の司会のもと連絡協議会代表幹事の宮城県医師会安田会長と、仙台市医師会千田会長の挨拶、および日本医師会小池常任理事の祝辞で始まりました。13時20分からケ−スレポ−ト(事例発表)として熊本県医師会田代理事の「医療保険カ−ド導入実験中間報告」という演題を皮切りに「伊勢崎佐波地域医療情報ネットワ−クの現況報告」、「宮崎市郡医師会のICカ−ドへの取り組み」、「O-157集団食中毒におけるインタ−ネットの有用性」などの演題が発表されました。その後特別講演〔1〕として「インタ−ネットを介した医師の生涯研修システム」があった後15時40分から18時30分まで「医師会ホ−ムペ−ジ」というテ−マでシンポジウムが開かれ、沖縄県、群馬県、福岡市、加古川市、愛媛県の各県市医師会情報担当理事あるいは委員が発表しました。
 2日目は9時30分から午前中の発表が始まり、特別講演〔2〕として「保健・医療・福祉のシステム化と意識改革」、研究発表〔1〕「保健・医療・福祉総合情報システムのガイドライン」および特別講演〔3〕「病院とインタ−ネット」と題した東京大学附属病院の発表が続きました。
 1時間の昼休みの後、午後は研究発表〔2〕として厚生省健康政策局総務課の上田博三医療技術情報推進室長の発表があり、特に平成10年度に厚生省が導入を予定している電子カルテの開発状況や遠隔医療の扱い等の説明がありました。続いてケ−スレポ−ト(事例発表)〔2〕として愛知県医師会古田理事による「愛知県医師会連携支援センタ−(仮称)について」、「岐阜市におけるパソコンによる地域医療ネットワ−クについて」(河合が発表)、「保健・医療・福祉の電子的ネットワ−ク化」(岩手県宮古医師会川井村国保川井中央診療所)、そして最後に宮城県医師会柏木常任理事による「JAVAおよびDirect Xにおける医用画像表示プログラミング」の発表がありました。このケ−スレポ−トについては発表のあと質疑討論が活発に行われ、予定通り15時に閉会となりました。

今回の会議の印象と特色

 会議全体の印象としてまず受けたのは昨年松山で開催された第12回定例会議に比し、すさまじい変化がこの1年間に医療情報システムの分野で起きているということです。昨年の会議ではインタ−ネットのホ−ムペ−ジも群馬県、愛媛県など2、3の医師会がやっと開設した程度で物珍しさで関心を集めたという印象でしたが、この1年間に県医師会レベルで10、市郡医師会を合わせると約40の医師会ホ−ムペ−ジが開設されました。また開設準備中の医師会ホ−ムペ−ジ、病医院のホ−ムペ−ジ等まで入れると数え切れないほどになります。日本医師会の小池常任理事は祝辞の中で来年中に全県の医師会がインタ−ネットに対応できるよう準備して欲しい旨の要請をされており、日本医師会もこの分野の重要性を認識しているのがうかがわれました。医師会の取り組みで最も積極的なのは昨年の開催県である愛媛県で、県医師会員約450名がインタ−ネットを利用し、さらにイントラネット(医師会内に限定したネットワ−ク)まで構築しており、ホ−ムペ−ジの年間アクセス数は34,000件に達しているそうです。
 インタ−ネットを使う利点のひとつに電子メ−ル(E-mail)があります。岩手県川井村では看護婦、ホ−ムヘルパ−などが在宅患者さんの状態や各種デ−タを訪問の都度ホストコンピュ−タ−にE-mailで送ってデ−タ−ベ−スに自動入力し、それを医師が見て往診の方針をたてたり、看護婦等に指示を出したりするシステムを完成させており、賞賛の的となっていました。この保健・医療・福祉ネットワ−クは今回の会議のキ−ワ−ドとも言えるもので多くの発表でE-mailをはじめとしたパソコンによる同ネットワ−ク構築の重要性が強調されていました。また展示の方でもE-mailを使った病診連携システム、紹介状システムが注目を集めていました。

岐阜市医の発表

 このような熱気あふれる会場でわれわれ岐阜市の演題が発表の機会を与えられたのは大変幸運であったと思います。われわれの発表の概要は@毎月岐阜市医師会で開催している保健・医療・福祉の情報ネットワ−ク会議のことAパソコンのFAXMODEMによるFAX一斉通信B岐阜市医師会ホ−ムペ−ジの概要CE-mailによる胃内視鏡等のカラ−画像通信Dインタ−ネットによるテレビ会議の試み等の紹介です。特に岐阜市医師会ホ−ムペ−ジは会議期間中の11月10日にアクセス件数1000件(10月3日カウタ−設置後約1ヶ月強で)を越えるという当初の予想を越える人気ぶりで実際のホ−ムペ−ジのパソコン画面をプロジェクタ−で映写して説明するにあたっても自然と力が入りました。また今回発表したことによる副次的なメリットとして他県の情報担当理事と懇意になる機会を得たということです(メ−ル上のことですが)。岐阜に帰ってすぐこの分野では非常に有名な大阪府のT先生から仲間に入りませんかというお誘いのメ−ルをいただき、その先生の紹介で四国ガンセンタ−のA先生(愛媛県医師会)が主宰しておられる全国の医療情報システム担当者のメ−リングリストに加えていただき以後ほぼ毎日関連情報のメ−ルが送られてくるようになりました。

今後に向けて

 話をまた元に戻しますが、今回の会議は今後の医療情報システムの方向づけについてある程度の道筋を示してくれたような気がします。しかしインタ−ネットのWWWが開発された1993年からまだたった3年しかたっていないことを思うと今後情報通信の分野がどこまで進むのか見当がつかないというのも偽らざる心境です。来年NTTがインタ−ネットのプロバイダ−(接続)事業を開始し、インタ−ネットが数万円の情報端末機器やテレビ等で簡単に扱えるようになれば急速に利用者が増えるのは目に見えています。E-mailひとつ取り上げてもFAXと比較にならない程の高速通信が可能であり、カラ−画像送付やデ−タ送信が容易であること、通信コストが安価であることなどを考えると各種の情報伝達や紹介状などには最適と考えられます。ただしセキュリティなどを考えるとインタ−ネットの他に医師会内のイントラネットの構築が必要となり、このイントラネットの中での情報発信、情報交換が各県あるいは各市医師会で必要になるだろうということが各医師会担当者の認識でもあるようです。またこれは近々の介護保険の導入に付随してより必要度が増すであろう保健・医療・福祉ネットワ−クの構築や、実際の在宅医療における医師、訪問看護婦、ホ−ムヘルパ−間などのネットワ−クのためにも遠からず必要になると思われます。
 1日目の夜、岐阜県医師会と岐阜市医師会の出席者が夕食時にミ−ティングを行い、今後われわれのとるべき道について深夜まで討論を重ねました。勿論その場で結論がでる問題ではありませんが今後この医療情報システムの構築が医師会活動においても極めて重要な位置を占めることになろうとの認識ではほぼ一致し、早急に県医師会でも情報システム委員会の発足に向けて準備を開始することになりました。
 来年のこの会議の開催は東京都に決まりました。昨年から今年まで1年間の変貌があまりにも大きかったため次回来年までにこの分野が如何にまた変貌をとげているか恐ろしいくらいだとの声が会場の各所で聞かれました。われわれがこのいわば情報通信の歴史的な変換期に担当者として遭遇したことは幸運であったのか不運であったのか現時点ではわかりません。ただこの大変換期の荒波に流されることなく乗り切っていきたいと考えております。しかしこれは会員の皆様のご支援、ご協力がなければとうてい成し遂げられないと思います。是非会員諸先生のご理解とご協力をお願いして稿を終えたいと思います。

岐阜市医師会ホ−ムペ−ジに戻る