蛋白尿

 尿に蛋白を認めることで、腎・尿路系のどこかに異常があることはまちがいない。しかし、これだけで腎臓の治療の対象となる病気があると考えるのは、誤りである。すなわち 腎そのものに病気がなくとも 尿中に蛋白の認められることはそう珍しいことではない。しかし 尿蛋白陽性ということは、少くとも正常時には起こりえないことなので 蛋白尿の原因を見出す必要はある。

良性蛋白尿:腎臓が悪くなくても出る蛋白尿

@食餌性蛋白尿     :大量の蛋白質を摂取した時.
A熱性蛋白尿      :発熱時に一時的にみられる.
B運動性蛋白尿     :激しい運動後にみられる.
C冷水浴後蛋白尿    :冷水浴後 一時的にみられる.
D痙攣性蛋白尿     :痙攣発作中にみられる.
E心臓性蛋白尿     :心不全のさいみられる.
F起立性(体位性)蛋白尿:起立性体位によって蛋白尿をきたし、横になることにより蛋白尿の消失するもの.学童の5%にみられる.

病的蛋白尿

 健康な人でも一日数十ミリグラムの蛋白質が糸球体から濾過され、尿細管で再吸収されているのだが、腎臓病の場合には糸球体が蛋白質を通しやすくなるため多量の蛋白質が濾過され、尿細管で再吸収しても拾いきれず尿にもれ出てしまうのである。蛋白尿の程度は病気の性質や時期によって異なり病気の軽重とは無関係である。したがって蛋白尿が少なくても腎臓病がかなり進行していることがある。一日150ミリグラム以上の蛋白尿があるときは病的と考えその原因を見出し治療の必要がある。

(1)急性腎炎

 風邪や扁桃炎などの感染症にかかって1〜2週間たった頃に突然尿量が減ったり、血尿が出たり、顔にむくみが現れたりする。
 小学校低学年から思春期にかけての子供や若い世代に発病しやすく、大人では年をとるほど少なくなる。また、女性より男性の方が多く、その発病率は女性の2〜3倍である。
 急性腎炎はありがたいことに比較的治りやすい病気である。その80〜90%までが、発病して1ヶ月以内に症状が消え自然に治っていく。しかし、症状がなくなっても糸球体の病変がすぐになくなるわけではなく、完全に治るまでに半年以上かかる場合もあるので、急性腎炎にかかったら少なくとも1年は医師の検診を受けながら、注意深く見守る必要がある。

(2)慢性腎炎

 成人病の腎臓病としてはもっとも多いのが慢性腎炎である。腎炎の四大症状 @血尿 A蛋白尿 Bむくみ C高血圧、のうちいずれかが1年以上持続するものをいう。かつて、慢性腎炎は不治の病いと考えられ、いったんこの病気にかかると病状は悪化していく一方だとして恐れられていた。しかし最近の研究では慢性腎炎にもいろいろなタイプがあり約30%の患者は治癒することがわかってきた。また治りきらずに病変が残ったとしても それが一生進行しないままで終わるケースもあることが知られている。
 慢性腎炎ははっきりとした自覚症状がないままに進行してしまうことが少なくない。初めから慢性腎炎を疑って病院にいく人はまれで、学校や職場の集団検診、人間ドックなどで発見されたり、ほかの病気で受診して尿検査でわかるといったケースが多いのである。したがって、家庭の主婦や自 営業の人たちが病気を早期発見するためには定期的に健康診断を受けることが非常に大切である。
 慢性腎炎は症状や経過からいくつかの型に分けられている。

1.潜在型
 症状としては軽い蛋白尿(1日1〜2g)とわずかな血尿がみられるだけで高血圧や腎機能の低下がないものを潜在型という。
 慢性腎炎のなかではもっとも軽いタイプで治る可能性ももっとも高い。自覚症状もほとんどの場合ないが頭重感、体重の減少、だるさなどを訴える人もいる。

2.高血圧型
 血圧の上昇が目だち中程度の蛋白尿がみられるものをいう。自覚症状としては頭痛、めまい、むくみ、だるさ、動悸、不眠などを訴えることがある。このタイプの慢性腎炎は進行して腎不全になることが多く、食餌療法をはじめ療養に細心の注意を払う必要がある。

3.ネフローゼ型
 尿蛋白が1日3.5g以上のものをいう。
 いくつかあるネフローゼ症候群の病態のひとつで、むくみが強く現れる。血液中の蛋白質の低下、コレステロールの増加などもみられ、経過は一般に長く、いったんよくなったようにみえても再度悪化することがあるので油断できない。

4.腎不全型
 腎機能が正常の2分の1以下に低下しているのもをいう。頭痛、耳鳴り、吐き気、動悸、呼吸困難、貧血、乏尿などの症状が多かれ少なかれ現れてくる。

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